【社長の悩み解決】せっかく採用した社員がすぐ辞めてしまう… 定着率を高める職場づくりの秘訣
「やっとの思いで採用したのに、すぐに辞めてしまった…」
「若手がなかなか定着せず、採用コストばかりかさんでいる…」
「社員が辞めるたびに、職場の雰囲気が悪くなる…」
時間とコストをかけて採用した社員の早期離職は、中小企業の経営者にとって深刻な悩みです。欠員補充のための再採用コストはもちろん、残った社員の負担増、ノウハウの流出、社内の士気低下など、その影響は計り知れません。
しかし、「ウチは中小企業だから仕方ない」と諦める必要はありません。 社員が定着しないのには必ず理由があり、その理由に合わせた対策を講じることで、定着率を高めることは可能です。
今回は、社員が定着しない主な原因を探りつつ、中小企業でも実践できる「定着率を高める職場づくり」の具体的な秘訣を、外部データも交えながら分かりやすく解説します。
なぜ、社員はすぐに辞めてしまうのか?
まず、なぜ早期離職が起きてしまうのか、その背景を見ていきましょう。
厚生労働省の調査によると、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は、依然として一定の割合で発生しており、特に中小企業にとって大きな課題となっています。
【外部データ】新規学卒者の離職状況
厚生労働省が発表している「新規学卒就職者の離職状況」を見ると、事業所規模が小さいほど3年以内離職率が高い傾向が見られます。これは、中小企業が抱える定着への課題を示唆しています。

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業)を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00007.html
離職の理由は様々ですが、主に以下のような点が挙げられます。
- 入社前後のギャップ:「聞いていた話と違う」「こんなはずじゃなかった」という、仕事内容、労働条件、社風などに対する期待と現実のズレ。
- 人間関係の問題:上司や同僚とのコミュニケーション不足、相談しにくい雰囲気、ハラスメントなど。
- 成長実感の欠如:仕事を通して自分が成長していると感じられない、キャリアアップの見通しが立たない。
- 働きがい・働きやすさの問題:仕事内容への不満、正当に評価されていない感覚、長時間労働、ワークライフバランスの欠如など。
【外部データ】主な離職理由
厚生労働省の「雇用動向調査」などを見ると、離職理由の上位には「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」「給料等収入が少なかった」「職場の人間関係が好ましくなかった」「仕事の内容に興味を持てなかった」などが挙げられることが多いです。これらは、上記4つの原因と密接に関連しています。
(性別) | 男性 | 女性 |
---|---|---|
職場の人間関係が好ましくなかった | 9.1% | 13.0% |
給料等収入が少なかった | 8.2% | 7.1% |
労働時間・休日等の労働条件が悪かった | 8.1% | 11.1% |
仕事内容に興味を持てなかった | 7.4% | 5.0% |
能力・個性・資格を生かせなかった | 5.1% | 5.4% |
会社の将来が不安だった | 5.2% | 4.6% |
結婚、出産・育児、介護・看護 | 1.1% | 4.4% |
その他の個人的理由 | 17.3% | 25.1% |
定年・契約期間の満了 | 16.9% | 9.8% |
会社都合 | 5.8% | 5.3% |
その他の理由(出向等含む) | 14.0% | 6.9% |
出典:厚生労働省「令和5年雇用動向調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-2/dl/gaikyou.pdf
これらの原因を踏まえ、具体的な対策を考えていきましょう。
定着率を高める職場づくり:4つの秘訣
社員が「この会社で働き続けたい」と思える職場にするために、中小企業でも取り組める4つの秘訣をご紹介します。
秘訣1:入社後の「ギャップ」をなくす丁寧な受け入れ(オンボーディング)
採用が決まったら終わりではありません。入社後のスムーズな立ち上がりを支援する「オンボーディング」が、早期離職を防ぐ上で非常に重要です。
- ウェルカムな雰囲気づくり: 入社初日に必要な備品を揃えておく、部署メンバーに紹介する、歓迎ランチ会を開くなど、温かく迎え入れる姿勢を示す。
- 丁寧な業務指導: OJT(職場内訓練)担当者を決め、段階的に業務を教える。マニュアル整備も有効。分からないことを質問しやすい雰囲気を作る。
- 期待値のすり合わせ: 入社後の面談などで、改めて会社の期待を伝え、本人のキャリアへの考えなどを聞く。入社前に聞いていた情報とのズレがないか確認し、あれば丁寧に説明する。
- メンター制度の導入: 年齢の近い先輩社員などが相談役(メンター)となり、業務だけでなく、社内ルールや人間関係の悩みなどをサポートする制度も効果的です。
秘訣2:「人間関係」の壁を取り払うコミュニケーション活性化
職場の人間関係は、定着を左右する大きな要因です。「話しにくい」「相談できない」といった状況を防ぐために、意識的なコミュニケーション活性化が求められます。
- 挨拶・声かけの徹底: 経営者や上司から率先して、明るい挨拶や「最近どう?」といった気軽な声かけを行う。
- 相談しやすい雰囲気づくり: 「いつでも相談してね」と言うだけでなく、実際に相談しやすい時間を作る(例:1on1ミーティング)、相談されたら真摯に対応する。
- チーム内での情報共有: 定期的なミーティングや朝礼などで、業務の進捗だけでなく、お互いの状況を共有する場を設ける。
- 社内イベントの活用: 懇親会や社員旅行なども、強制にならない範囲で、部署や役職を超えた交流の機会として活用できます。
秘訣3:「成長している実感」を与える育成とキャリア支援
社員が「この会社で働き続ければ成長できる」と感じられることは、大きな定着インセンティブになります。
- 明確な目標設定とフィードバック: 上司と部下が定期的に面談し、具体的な目標を設定。達成度合いやプロセスについて、具体的なフィードバック(褒める、改善点を伝える)を行う。
- 挑戦の機会の提供: 本人の意欲や能力に合わせて、少し背伸びした業務や新しい役割を任せてみる。
- 学びの機会の提供: 外部研修への参加支援、資格取得奨励制度、社内勉強会などを実施する。中小企業では育成体系が未整備な場合もありますが、できる範囲で支援することが大切です。
- キャリアパスの提示(可能な範囲で): 将来どのような役割やポジションを目指せるのか、大まかな道筋を示すことで、将来への期待感を持ってもらいます。
秘訣4:「働きがい」と「働きやすさ」を高める環境整備
社員が意欲を持って、安心して働ける環境を整えることも重要です。
- 公平な評価と納得感のある処遇: 頑張りや成果が、評価や給与・賞与にきちんと反映される仕組みを作る。評価基準やプロセスを透明化することも納得感を高めます。
- 承認文化の醸成: 日常的に「ありがとう」「助かるよ」といった感謝の言葉を伝えたり、成果をきちんと認め、褒めたりする文化を作る。
- 心理的安全性の確保: 「こんなこと言ったら怒られるかも」「失敗したらどうしよう」といった不安なく、誰もが意見を言ったり、安心して挑戦したりできる雰囲気づくりを目指す。ハラスメント防止策の徹底も不可欠です。
- ワークライフバランスへの配慮: 長時間労働の是正、有給休暇の取得促進、テレワークや時短勤務など柔軟な働き方の導入検討など、社員が健康で、仕事と私生活を両立しやすい環境を整備する。
まとめ:定着率を高める職場づくりは経営の重要課題
従業員一人ひとりが「この会社で働き続けたい」と思える環境を整えることは、採用コストの削減だけでなく、組織全体の生産性向上やイノベーションの創出にも繋がります。今回ご紹介したコミュニケーションの活性化、適切な評価制度、働きがいのある環境づくりといった秘訣は、どれも一朝一夕に実現できるものではありませんが、継続的に取り組むことで必ず成果が現れるはずです。
まずは自社の現状を把握し、できることから一歩ずつ改善を進めていきましょう。
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