【社長のお悩み解決】「なぜウチには良い人材が集まらないんだ?」を解決!中小企業のための採用力アップ術

「募集をかけても、なかなか良い人が集まらない…」
「大手企業にばかり人材が流れてしまう…」
「採用に時間もコストもかけられない…」

中小企業の経営者様から、このような採用に関するお悩みを聞かない日はありません。会社の成長に「ヒト」は不可欠ですが、多くの中小企業にとって人材確保は大きな経営課題となっています。

でも、諦めるのはまだ早いかもしれません。

中小企業には、中小企業ならではの採用の戦い方があります。今回は、なぜ人材が集まりにくいのか、その原因を探りつつ、明日から実践できる「採用力アップ」のための具体的なステップを、外部データも交えながら分かりやすく解説します。


なぜ中小企業は採用で苦戦しやすいのか?

まず、現状を客観的に見てみましょう。中小企業が採用で苦戦しやすい背景には、いくつかの要因があります。

  1. 知名度・ブランド力の差: 一般的に、大手企業と比較して企業名が知られていないため、求職者の目に留まりにくい傾向があります。
  2. 待遇面の差(と思われがち): 給与や福利厚生などの条件面で、大手企業に見劣りするのではないか、というイメージを持たれやすい側面があります。(※ただし、後述するように見せ方次第で魅力は伝えられます)
  3. 採用活動にかけられるリソースの限界: 多くの中小企業では、人事専門の部署や担当者がいない、または経営者が兼務しているケースも少なくありません。そのため、採用活動に十分な時間やコストをかけられず、利用できる採用チャネルも限定的になりがちです。

【外部データ】深刻化する人手不足

  • 中小企業庁が定期的に発表している「中小企業景況調査」によると、多くの中小企業が人手不足を感じており、その状況は依然として厳しい水準にあります。特に建設業や運輸業、サービス業などで人手不足感が強い傾向が見られます。

第179回 中小企業景況調査
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/keikyo/keikyo/179sokuhou.pdf

  • 厚生労働省が発表する有効求人倍率(求職者一人あたり何件の求人があるかを示す指標)も、高い水準で推移しており、企業が求職者を見つけにくい「売り手市場」が続いていることを示しています。(※注:実際の数値は発表時期により変動します)

一般職業安定状況(令和7年2月分)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56019.html

このような状況だからこそ、「待ち」の姿勢ではなく、戦略的に採用活動を進める必要があるのです。

採用力アップへの道:4つのステップ

では、具体的にどうすれば採用力を高められるのでしょうか? 以下の4つのステップで考えていきましょう。

ステップ1:自社の「本当の魅力」を見える化する

大手企業と同じ土俵で戦う必要はありません。中小企業には、大手にはない独自の魅力があるはずです。まずは、自社の「強み」や「魅力」を洗い出し、言語化することから始めましょう。

求人票などで「自社の魅力」を具体的に表現することは非常に重要です。「経営理念・ビジョン」「社風・風土」「仕事のやりがい」「成長機会」「働きやすさ」など、様々な切り口で魅力を探ってみましょう。そして、一貫したメッセージを発信し続けることで、「あの会社らしさ」というブランドイメージを構築していくことが、中小企業にとっても大切になります。

【具体的に何をアピールできる?】

  • 経営者との距離の近さ: 社長の考えがダイレクトに伝わる、意思決定が早い
  • 幅広い仕事内容: 若いうちから多様な経験が積める、裁量が大きい
  • アットホームな社風: 社員同士の仲が良い、風通しが良い
  • 地域への貢献: 地元に根ざし、地域社会に貢献している
  • 独自の技術やノウハウ: ニッチな分野で高い競争力を持っている
  • 柔軟な働き方: (もしあれば)テレワーク、時短勤務、副業OKなど

誰に届けたいか(ターゲット設定)も重要です。 どんな価値観を持ち、どんな働き方をしたい人に来てほしいのかを明確にすることで、より響くメッセージを発信できます。

ステップ2:求人情報の「伝え方」を工夫する

自社の魅力が見えたら、それを求職者に効果的に伝える工夫が必要です。

ターゲットに応じて適切な募集媒体を選ぶことが重要です。ハローワーク、求人サイト、人材紹介、自社HP、SNSなど、それぞれの特徴を理解し、組み合わせることが有効でしょう。

そして、求人票は単なる「募集要項」ではなく、「会社からのラブレター」と捉えることが大切です。

  • 仕事内容は具体的に: どのような業務を、誰と、どのように進めるのか、イメージできるように書く。
  • 魅力は具体例を交えて: 「風通しが良い」だけでなく、「月1回の社長とのランチミーティング」「部署を超えた懇親会」など。
  • 正直に伝える: 良い面だけでなく、大変な面や課題も正直に伝えることで、入社後のミスマッチを防ぎ、信頼につながります。
  • 写真や動画も活用: オフィスの様子や社員のインタビューなど、視覚的な情報は会社の雰囲気を伝えるのに効果的です。

【外部データから見る傾向】求職者が重視する点

様々な調査によると、求職者が企業選びで重視する点として「仕事内容の魅力」「社風・人間関係」「働きがい」「ワークライフバランス」などが上位に挙げられています。給与や待遇はもちろん重要ですが、それ以外の要素もしっかりアピールすることが、中小企業の採用成功のカギとなります。
下記のグラフはマイナビによる調査の結果ですが、就職観について当てはまる上位は「楽しく働きたい」「個人の生活と仕事を両立させたい」となっています。

2025年卒大学生就職意識調査
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20240416_74092/

ステップ3:選考プロセスを「おもてなし」の場にする

応募があったら、その後の対応も非常に重要です。選考プロセスは、求職者が会社を評価する場でもあります。

面接は、単に候補者を見極めるだけでなく、自社の魅力を伝え、候補者の入社意欲を高める「相互理解」の場と捉えることが大切です。

  • 迅速で丁寧な対応: 応募や問い合わせへの返信は早く、誠実に行う。選考結果の連絡も期日を守る。
  • 面接での「おもてなし」: 威圧的な態度は避け、リラックスして話せる雰囲気を作る。候補者の話をしっかり聞き、質問には丁寧に答える。会社見学を取り入れるのも良いでしょう。
  • 評価基準の明確化: 何を基準に採用・不採用を判断するのかを明確にしておくことで、面接官によるブレを防ぎ、公平な選考ができます。

ステップ4:「待ち」から「攻め」の採用手法を取り入れる

求人媒体に掲載して応募を「待つ」だけでなく、企業側から積極的にアプローチする「攻め」の採用手法も検討しましょう。

以下のような手法が考えられます。

  • リファラル採用: 社員に友人や知人を紹介してもらう方法。エンゲージメントの高い社員からの紹介は、質の高い採用につながりやすいと言われます。
  • ダイレクトリクルーティング: 企業がデータベースなどから直接候補者にアプローチする方法。専門的なスキルを持つ人材などに有効です。
  • アルムナイ(退職者)採用: 一度退職した社員を再雇用する方法。会社のことをよく理解しており、即戦力として期待できます。
  • その他: 学校訪問、インターンシップ、合同説明会への出展なども有効なアプローチです。

これらの手法は、すぐに成果が出るとは限りませんが、中長期的な視点で取り組む価値があります。


採用力アップは、会社の未来をつくる投資

中小企業の採用力アップは、一朝一夕に実現するものではありません。しかし、今回ご紹介したステップを参考に、自社の魅力を見つめ直し、伝え方を工夫し、応募者にていねいに向き合うことを継続すれば、必ず道は開けます。

近年注目されている「人的資本経営」の考え方においても、人材は単なる「コスト」ではなく、企業の持続的な成長を支える重要な「資本」と捉えられています。採用活動は、目先の欠員補充という側面だけでなく、会社の未来をつくるための重要な「投資」であるという認識を持つことが、これからの時代にはますます重要になるでしょう。


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