【社長の悩み解決】社員の「やる気スイッチ」を押す!中小企業でもできる人材育成・活用の基本

「社員がなかなか育ってくれない…」
「忙しくて、人を育てる時間なんてないよ…」
「どうやって教えたら、やる気になってくれるんだろう?」

社員の成長は会社の成長に直結しますが、多くの中小企業では「人材育成にまで手が回らない」「教え方が分からない」といった悩みを抱えています。しかし、人材育成を後回しにしてしまうと、社員のスキルアップが進まず、モチベーションが低下し、結果的に離職につながってしまう可能性も否定できません。

「ヒトは会社の財産」です。

今回は、中小企業の経営者や管理職の方が、日々の業務の中で実践できる「人材育成・活用の基本」を、社員の「やる気スイッチ」を押すという視点から、外部データも交えつつ分かりやすく解説します。


なぜ今、人材育成が重要なのか?

「育成に時間をかける余裕がない」と感じるかもしれませんが、人材育成にはそれを上回るメリットがあります。

  • 社員のスキルアップと生産性向上: 業務に必要な知識やスキルが向上し、仕事の質とスピードが上がります。
  • モチベーション向上と定着率アップ: 成長を実感できる環境は、社員のやる気を引き出し、「この会社で働き続けたい」という気持ちにつながります。
  • 組織力の強化: 個々の能力が向上することで、チーム全体のパフォーマンスが底上げされます。
  • 変化への対応力: 新しい技術や市場の変化に対応できる人材を育てることは、企業の持続的な成長に不可欠です。

【外部データ】人材育成の効果

こちらの日本能率協会マネジメントセンターの記事では、内閣府が発表した「人的資本投資額を1%増加させると0.6%労働生産性向上の可能性がある」、ということを紹介しています。
引用:人的資本投資とは?重要性や企業にもたらす効果を解説/日本能率協会マネジメントセンター

また、世の中で多く紹介されている従業員エンゲージメントに関する調査では、「成長の機会」や「上司からの支援」がエンゲージメントを高める重要な要素として挙げられることが多く、育成への取り組みが社員の意欲に直結することが分かります。
参考:従業員エンゲージメントを高める鍵/電通総研

育成を怠ることは、これらのメリットを逃すだけでなく、将来の成長機会を失うリスクにもなりかねません。

社員のやる気を引き出す!人材育成・活用の基本5ステップ

では、中小企業でも実践できる人材育成の基本的なステップを見ていきましょう。「教える」だけでなく、「やる気を引き出す」ことがポイントです。

ステップ1:OJT(職場内訓練)を「計画的」に進める

OJTは、実際の業務を通して仕事を教える、最も基本的な育成方法です。しかし、「見て覚えろ」という丸投げでは効果は半減します。計画的に進めることが重要です。

  • 小さなOJT計画を立てる: 「誰が」「何を」「いつまでに」「どのレベルまで」教えるのかを明確にします。完璧な計画でなくても構いません。まずは簡単なメモ程度から始めましょう。
  • 「やってみせる→説明する→やらせてみる→評価・追加指導」: このサイクルを意識して、丁寧に教えます。特に「やらせてみる」時間を確保し、すぐそばで見守ることが大切です。
  • 「褒める」ことを忘れずに: 最初から完璧にできる人はいません。できたこと、努力したことを具体的に褒めることで、自信とやる気を育てます。根気強く向き合う姿勢が重要です。

ステップ2:目標設定で「進むべき方向」を共有する

社員が「何を期待されているのか」「どこに向かえばよいのか」を理解することは、モチベーションの維持に不可欠です。

  • 具体的で達成可能な目標を一緒に設定する: 高すぎる目標はやる気を削ぎ、低すぎる目標は成長につながりません。本人のレベルに合わせて、少し頑張れば達成できる目標(SMART原則※などを参考に)を、一方的に押し付けるのではなく、話し合いながら設定します。
    • ※SMART原則:Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性がある)、Time-bound(期限がある)
  • 会社の目標とのつながりを意識させる: その目標達成が、チームや会社全体の目標達成にどう貢献するのかを示すことで、仕事への意義を感じさせます。

ステップ3:的確なフィードバックで「成長実感」を与える

定期的なフィードバックは、社員が自分の現在地を確認し、次に何をすべきかを理解するために重要です。

  • 1on1ミーティングなどを活用する: 週に1回、月に1回など、定期的に1対1で話す機会を設けます。忙しくても、短時間でも良いので継続することが大切です。
  • 具体的な行動について伝える: 「良かったよ」だけでなく、「〇〇の資料、ポイントがまとまっていて分かりやすかったよ」のように、具体的な行動を挙げて褒めます。改善点を伝える際も、「〇〇の部分を、次は△△のようにしてみるともっと良くなると思う」と具体的に、前向きな言葉で伝えます。
  • 一方的な「ダメ出し」はNG: まずは本人の話を聞き、考えを受け止めた上で、アドバイスを送る姿勢が信頼関係を築きます。

ステップ4:能力開発の「機会」を提供し、視野を広げる

日々のOJTだけでなく、新しい知識やスキルを学ぶ機会を提供することも、社員の成長意欲を刺激します。

  • 外部研修への参加支援: 全員に高額な研修を受けさせるのが難しくても、テーマを絞って希望者を募ったり、オンライン研修を活用したりする方法があります。補助金を活用できる場合もあります。
  • 資格取得の奨励: 業務に関連する資格取得を推奨し、費用補助や報奨金などの制度を設けることも有効です。
  • 社内での学び合い: 社内勉強会を開催したり、社員同士で知識や経験を共有する場を作ったり、書籍購入を補助したりすることも、コストを抑えつつ学びの機会を提供する方法です。

ステップ5:「任せる」ことで主体性と責任感を育む

いつまでも手取り足取り教えるのではなく、ある程度の段階で仕事を「任せる」ことも、重要な育成の一環です。

  • 裁量を与える: 目標や進め方の大枠は示しつつ、細かいやり方は本人に任せてみます。
  • 失敗を恐れない文化をつくる: 挑戦には失敗がつきものです。失敗から学び、次に活かせるようなサポート体制や雰囲気づくりが大切です。経営者や上司が率先して挑戦する姿を見せることも有効です。
  • 成功体験を積ませる: 任せた仕事が成功したら、しっかりと承認し、次のステップへつなげることで、自信と責任感を育てます。

まとめ:人材育成は未来への投資。社員と共に会社も成長する。

中小企業にとって、人材育成は時間も手間もかかる大変な仕事かもしれません。しかし、それは単なる「コスト」ではなく、会社の未来を創るための重要な「投資」です。

今回ご紹介した5つのステップは、特別なことではありません。日々の業務の中で、少し意識を変え、社員一人ひとりと向き合う時間を大切にすることから始まります。

経営者や上司が育成に本気で関わる姿勢を見せることが、社員の「やる気スイッチ」を押し、成長を加速させます。そして、社員の成長こそが、会社の持続的な成長を実現する原動力となるのです。

社員と共に成長する喜びを、ぜひ実感してください。


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